BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「迷惑? 君に迷惑をかけられたとは思ってはいない。私を助けてくれてありがとう」
 驚くべきことに、クラレンスの口から出てきた言葉は礼の言葉。ありがとう、とあのクラレンスが口にしている。

 ――笑顔が、眩しい。目が、目がやられる……。

 ジーニアは目を伏せた。クラレンスから放たれる光からその目を守るために。

「どうか、したのか?」
 そんなジーニアの様子を心配したのか、クラレンスが顔を覗き込んできた。

 ――近い、近い、近い、近い……。お顔が近いです。

「あ、の。えと、すみません。その、よく覚えていなくて」
 ここでもまた、当たり障りのない言葉、つまり記憶喪失の振りで返してみた。

「そうか」
 クラレンスが眩しい笑顔を振りまきながら、シリルがどこかからか持ってきた椅子に腰をおろす。つまりジーニアが横を向けば、そこにクラシリがいるという状態。

「卒業パーティ、は覚えているか?」

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