BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに

2.

 とにかく腐った心を思い出したジーニアであるが、このジーニアという女性はジェレミーの妹という立場だけではない。実はこのジェレミーとグレアムのシナリオにおいて、当て馬という立派な役割があるのだ。グレアムが自分の気持ちに気付くための立派な当て馬。

 ジェレミーが妹を自慢し可愛がっているため、その話を耳にするたびにグレアムはどす黒い何かが蠢くような感覚に捉われる。それが嫉妬という感情であることに気付いたのは、学院の卒業パーティだ。
 学院の卒業パーティとはその名の通り、王立学院を卒業する生徒たちを祝うパーティである。騎士団に所属するジェレミーとグレアムはそれの警備を担当し、隊長であるジェレミーは警備責任者という責任ある任務につく。

 この卒業パーティというイベントがどのシナリオを進めるかの分岐点になるのだが、ジェレミーとグレアムルートは、ジーニアが同級生の男の手をとってダンスを踊るところから始まる。
 ダンスを終えその同級生から飲み物を手渡されてそれを口にしたジーニアは倒れてしまう。そう、その飲み物には毒が仕込まれていたのだ。ジェレミーの隊長就任を面白く思わないクソ共が、彼の妹を狙ったというクソのような展開である。このようなクソ展開はゲームの世界のお話であるため許して欲しい。
 さて、妹が狙われたことに気付いたジェレミーだが、犯人はその同級生の男の兄であった。すぐさまグレアムがそれに気付き、その男を捕らえる。
 しかし、ジーニアは残念なことに命を失ってしまう。
 妹を失い、悲しみにひれ伏すジェレミーを励ますのがグレアム、という流れで。

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