BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――あれ? 私、死ぬんだっけ?

 と、ジェレミーとグレアムシナリオを思い出してがっかりするジーニアの中の人。
 二人の絡みは見たいけれど、死んだら見れないでしょ、という一人ツッコミ。

「どうかしたのか? ジーン。今日は様子がおかしいぞ」
 そんな妹の妄想に気付いたのか、いや、気付いているわけはないのだが、心配そうに視線を向けてくる兄のジェレミー。

「いいえ。私も、もう少しで卒業かと思うと、少し寂しい気がしてしまって。その、卒業パーティの警備は、お兄さまが?」

「ああ、そうだ。ジーンたちの学院生活最後のパーティを安心して楽しめるように、ばっちり警備するからな。なんと、驚くなよ。俺が警備責任者だ」

 まあ、さすがジェミーね、なんて母親は喜んでいる。だけど、ジーニアは素直に喜べなかった。

 ――兄の恋路の邪魔をしてしまう妹をお許しください。だって私、死にたくないんです。

 今、兄に言えることはそれだけだった。

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