再会は光の中で~ひっそりと子育てしていたら、あなたの愛に包まれました~

 千帆が示す先は、彗星の城がライトアップされ、光に照らされて綺麗に浮かび上がっている。

「すご~い、きれいだね」

 待ち合わせのエントランスにある案内所の前へ行くと、園の案内スタッフが私たちを待っていてくれた。

「ようこそいらっしゃいました。こちらにどうぞ」

 人混みをかき分けてストリートの脇道を進むと、裏通りに来たせいか、だいぶ人通りが少なくなった。いったいどこへ案内してくれるのだろう。
 すると突然、建物の陰から大きな人物が現れた。

「ここからは私が案内する。君は普段の仕事に戻ってくれ」

 そこにいたのは紘登だった。案内スタッフは一礼するとその場を立ち去り、いつの間にか私と千帆、紘登の三人になってしまった。

「ど、どうして……?」

「せっかく再会できたんだ。俺が案内してもいいだろう」

「でも……」

「あっ! まほうつかいのひとだ」

 千帆は思い出したように声を上げた。

「こんばんは。千帆ちゃん。今夜は二人だけ? パパはお仕事かな?」

「パパ……?」

 千帆は不思議そうに紘登の顔を見上げる。我が家にパパという存在がないことは理解している。

「ほ、ほら、千帆。トトのことだよ。今日は仕事に行ってるのよね~」

 慌てて千帆の言葉を止めた。兄を父親のような響きのトトと呼ばせておいてよかった。危うく千帆が口を滑らせそうで冷や汗が出る。

< 32 / 58 >

この作品をシェア

pagetop