Macaron Marriage
「わかった。では一年だけ猶予をやろう。一年後には約束通り、結婚式を行う」
「嫌。二年にして」
「それはダメだ。お前だけの問題じゃないんだよ。わかっているか? 婚約者がいるということは、お前との結婚を待っている人がいるということなんだ」
萌音はハッとする。確かにそこまでは考えていなかったかもしれない。勝手に決められた結婚。相手だって仕方なく受け入れているだろうし、先に延びたところで何も変わりはないと思っていたのだ。
でも私との結婚を待ってる? そんなことってあるの?
「とりあえず一年だけは好きにしていい」
「それなら一つお願いがあるの」
「なんだ? 内容にもよるからな」
「これから先の一年、この家じゃなくて別荘で過ごしてもいい?」
「別荘? 最近あまり行っていなかったが……ここでいいじゃないか」
萌音は首を横に振る。
「あそこがいいの」
「……お前、家事は出来るのか?」
黙り込んだ萌音の様子から、そこは成長していないのだと察し、父は嬉しい気持ちを抑え込む。
「まぁ広い家だしな。身の回りの世話をしてくれそうな人を探しておくよ」
萌音の表情がパッと明るくなる。
「ありがとう! じゃあママも元気そうだし、わたしはすぐに出発するわね!」
「はぁっ⁈ 泊まっていかないのか⁈」
「えーっ、時間がもったいんだもの」
「せめてご飯くらい食べていきなさい!」
「……じゃあご飯だけね」
早く出発したくてソワソワする萌音に、両親は寂しさを隠せなかった。
「嫌。二年にして」
「それはダメだ。お前だけの問題じゃないんだよ。わかっているか? 婚約者がいるということは、お前との結婚を待っている人がいるということなんだ」
萌音はハッとする。確かにそこまでは考えていなかったかもしれない。勝手に決められた結婚。相手だって仕方なく受け入れているだろうし、先に延びたところで何も変わりはないと思っていたのだ。
でも私との結婚を待ってる? そんなことってあるの?
「とりあえず一年だけは好きにしていい」
「それなら一つお願いがあるの」
「なんだ? 内容にもよるからな」
「これから先の一年、この家じゃなくて別荘で過ごしてもいい?」
「別荘? 最近あまり行っていなかったが……ここでいいじゃないか」
萌音は首を横に振る。
「あそこがいいの」
「……お前、家事は出来るのか?」
黙り込んだ萌音の様子から、そこは成長していないのだと察し、父は嬉しい気持ちを抑え込む。
「まぁ広い家だしな。身の回りの世話をしてくれそうな人を探しておくよ」
萌音の表情がパッと明るくなる。
「ありがとう! じゃあママも元気そうだし、わたしはすぐに出発するわね!」
「はぁっ⁈ 泊まっていかないのか⁈」
「えーっ、時間がもったいんだもの」
「せめてご飯くらい食べていきなさい!」
「……じゃあご飯だけね」
早く出発したくてソワソワする萌音に、両親は寂しさを隠せなかった。