Macaron Marriage
まるでフランスに戻ったかのような光景に、萌音の表情はパッと明るくなり、心は浮き足立つ。
「ここって……」
「ここが任されている結婚式場です。ほら、そこの手前が農園レストランで、その奥が披露宴会場です。もっと奥にはチャペルがありますよ」
「わぁ……素敵……」
翔に手を引かれ、レストランの中へ入って行く。温かな柔らかい明かりの中では、穏やかな時間が流れていた。多くの人が笑顔で食事を楽しむ様子が見られる。
外だけじゃなくて、内装もフランスのおばあちゃんの家を思い出す。アンティークの家具、木の風合い、どれもこれも懐かしい。
そこへ一人の男性が近付いてくる。ホールの担当らしき人物は、翔に頭を下げるとそっと微笑んだ。
「翔さん、準備は出来ていますので……」
「あぁ、ありがとう。さっ、萌音さん、こちらです」
「は、はいっ!」
手は繋がれたままだったので、そのまま翔の隣に並んで歩いていく。店内を抜け、細い通路を通って目の前に現れた扉を押すと、そこは植物に囲まれたまるで屋外の個室のような場所だった。
中央にはアイアン製のテーブルと椅子が置かれていて、そこには花と蝋燭があしらわれており、辺りに置かれたいくつものランタンの灯りがロマンチックに輝いている。
「素敵……。あの……私なんかが入っちゃって大丈夫ですか?」
「もちろん。そのために準備したんですから」
こんな素敵な扱いをされたことのない萌音は、初めての経験にソワソワし、緊張が隠せなくなる。
「さっ、座って」
翔が椅子を引いてくれたため、萌音はその言葉に甘えるように腰を下ろした。
なんてスマートなのかしら……日本人でこの仕草が自然に出来る人にはなかなか出会ったことがない。
翔が萌音の前に座ると、先ほどの男性がシャンパンの瓶を手に持ってやって来る。グラスに注がれたシャンパンと、目の前ににいる翔を交互に見やり、まるで夢の中にいるような気持ちになる。
翔がグラスを片手に持ったので、萌音もそれに倣う。
「二人の再会を祝して、乾杯」
グラスが音を立てて重なり合う。緊張しながらシャンパンを口に含むと、口いっぱいに広がる炭酸の感触が胸の高鳴りを助長させて行く。
グラスを置いてから顔を上げると翔が微笑んでいたので、萌音の頬は焼けるように熱くなった。
「ここって……」
「ここが任されている結婚式場です。ほら、そこの手前が農園レストランで、その奥が披露宴会場です。もっと奥にはチャペルがありますよ」
「わぁ……素敵……」
翔に手を引かれ、レストランの中へ入って行く。温かな柔らかい明かりの中では、穏やかな時間が流れていた。多くの人が笑顔で食事を楽しむ様子が見られる。
外だけじゃなくて、内装もフランスのおばあちゃんの家を思い出す。アンティークの家具、木の風合い、どれもこれも懐かしい。
そこへ一人の男性が近付いてくる。ホールの担当らしき人物は、翔に頭を下げるとそっと微笑んだ。
「翔さん、準備は出来ていますので……」
「あぁ、ありがとう。さっ、萌音さん、こちらです」
「は、はいっ!」
手は繋がれたままだったので、そのまま翔の隣に並んで歩いていく。店内を抜け、細い通路を通って目の前に現れた扉を押すと、そこは植物に囲まれたまるで屋外の個室のような場所だった。
中央にはアイアン製のテーブルと椅子が置かれていて、そこには花と蝋燭があしらわれており、辺りに置かれたいくつものランタンの灯りがロマンチックに輝いている。
「素敵……。あの……私なんかが入っちゃって大丈夫ですか?」
「もちろん。そのために準備したんですから」
こんな素敵な扱いをされたことのない萌音は、初めての経験にソワソワし、緊張が隠せなくなる。
「さっ、座って」
翔が椅子を引いてくれたため、萌音はその言葉に甘えるように腰を下ろした。
なんてスマートなのかしら……日本人でこの仕草が自然に出来る人にはなかなか出会ったことがない。
翔が萌音の前に座ると、先ほどの男性がシャンパンの瓶を手に持ってやって来る。グラスに注がれたシャンパンと、目の前ににいる翔を交互に見やり、まるで夢の中にいるような気持ちになる。
翔がグラスを片手に持ったので、萌音もそれに倣う。
「二人の再会を祝して、乾杯」
グラスが音を立てて重なり合う。緊張しながらシャンパンを口に含むと、口いっぱいに広がる炭酸の感触が胸の高鳴りを助長させて行く。
グラスを置いてから顔を上げると翔が微笑んでいたので、萌音の頬は焼けるように熱くなった。