Macaron Marriage
「ロミオくんって不思議ね……私にやる気を漲らせてくれる」
「あはは! でも似たようなことをこの間言われたかも。最初の夜に話した星が好きな問題児にさ、『先輩と話してると勇気が湧いてくる』って。意味わからなかったけど」
その時だった。彼女の部屋のドアが開き、母親が入ってきたのだ。
「萌音? 起きてるの?」
モネ? あの子はモネっていうのか。だからあの時驚いたんだ。納得しつつも、彼女の母親にバレないように塀から降りようとする。しかしバランスを崩して塀から落ちてしまった。
「いてて……」
思わず言葉が漏れてしまい、慌てて両手で口を塞ぐ。バレただろうか。早く逃げないと。だが足が痛み、上手く立ち上がれない。
マズいぞ……そう思った矢先、門が勢いよく開く音がした。裸足のまま駆け寄る萌音の姿に、翔は嬉しい反面、顔を見られたらマズいとも思う。
悪いことはしていないけど、父親の仕事に影響が出たりしたらマズい。
「大丈夫⁈ 怪我してるの⁈」
萌音が翔の顔を覗き込もうとした瞬間、反射的に彼女の頭を引き寄せてキスをした。それから体の力が抜けた萌音を、翔はぎゅっと強く抱きしめる。
「ごめん……顔は見ないで」
「えっ……」
萌音が顔を上げようとした時、遠くから母親の声が響く。彼女が気を取られたその隙に、翔は痛みを堪えて走り出した。