放課後の音楽室で
「それ、すごくありがたい」

実際、本格的に受験勉強始めてから、結構手が疲れる。

「使ってね」

「うん。早速家帰ってから勉強で使うよ」

そう言うと、佐久間は心の底からすごく嬉しそうに笑った。

「送ってくよ」

「うん。ありがとう」

立ち上がって手を伸ばすと、ちょっとだけ間を置いて、佐久間が俺に手を握った。

付き合ってるわけじゃない。でも気持ちは一緒。

中途半端な関係だと思うけど、今の俺たちの距離感がこうなんだと思う。

「…佐久間は第一志望決めてる?」

「うん。N大の医学部」

佐久間の志望校を聞いて、思わず足を止める。

「実は、俺もN大の教育学部」

一人暮らしにはなるけれど、県内で教育学部のある国立大学ということで第一志望にしていた。

まさか佐久間と一緒だったなんて思いもよらなかった偶然に、かなりテンションが上がる。

佐久間も驚いた表情から弾けるような笑顔へと変わった。

「すごい!私達、中高だけじゃなくて大学も一緒になるんだね」

ふふふっと笑う佐久間に、俺も嬉しさで胸がいっぱいになる。

「俺、結構やる気出てきた」

「私も」

2人でまた微笑み合った。
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