嫌われ夫は諦めない
宣言したとおり部屋にやってきたリディオは、シャスナが抵抗をするとすぐにゴロンと寝台に横になった。「嫌がる女をどうこうするつもりはない」と言っているが、それでも同じ寝台で寝るつもりのようだ。
「あー、なんだ。シャスナは俺にとって唯一の妻なんだ。いつか俺の子を産んで欲しいしいが、まだ始まったばかりだからな」
「王妃様の命令なら、いつか貴方を受け入れないといけないんでしょ……」
「ん、まぁ焦ることないよ。ゆっくり口説くさ」
肌掛けをひっかけると、シャスナを抱き込むようにしてリディオは寝るぞと言った。
「ちょっ、自分の部屋で寝てよ」
「夫婦なんだろ? こうして一緒に寝ることも王妃の命令だ」
そんなことはどこにも書いてなかった気がするけれど、リディオは本気でこのまま寝ようとしている。
「あー、やわらけぇ。やっぱいいな」
抱きしめられた途端、過去の女を匂わせる言葉を聞くと何故か胸がチクりと痛む。クズ王子と自分で言っていたくらいだから、これまで数多の女性を抱いて来たのだろう。そのことに腹を立てる理由なんてないハズなのに、何故かこころがキュッと絞られる。
「こんな格好じゃ、眠れないよ」
「俺の体温に慣れるんだな。これも子づくりの一環だと思って諦めろ」
「リディオが諦めてくれればいいのに」
「わりぃな。俺はこう見えても一途な男なんだよ。ほら、もう寝るぞ」
人と一緒に寝るなんて、幼い頃に乳母と寝た頃以来だ。身体に回されたリディオの逞しい腕から逃れることができない。
もう、仕方がないと諦めたシャスナは、目を閉じた途端に眠気に飲まれるように寝息をたて始める。
シャスナの寝顔を見つめるリディオの瞳が、柔らかく細められた。