嫌われ夫は諦めない

つま先立ちになったシャスナが耳元で優しく囁いた。お腹の中に、新しい命が宿っていることを。まだお腹がふくらんでいないが、できるだけ安静に過ごしたいと言う。

「ほ、本当か? シャスナ、俺たちの子どもが……!」
「うん、私もまだ聞いたばっかりで信じられないんだけどね」
「そうか……! 嬉しいな、シャスナ」
「……うん」

 可愛い妻は、瞳を潤わせて顔を上げた。いじらしい姿に久しぶりの理性が切れそうになりながら、口づける。

「はぁ、でも今は安静にしないといけないんだよな……」

 一か月以上も何もしていない。ようやくシャスナに会えたというのに、子どものことは嬉しいけれど閨事ができないのは悲しすぎる。

「そうか、胸……」

 シャスナのはち切れそうな胸を見下ろすと、彼女はコテンと顔を傾けた。

「やっと愛しい旦那様と思えるようになったのに、また嫌われ夫に戻りたいの?」

 愛しい妻は、やっぱり一筋縄ではいかないようだった。

(おわり)


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