誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ

『天音！　いいこと、宗次に女の武器を使って取りいろうとしても無駄よ』
「っ」
なんてことをいうのだろう。これが格式ある宮下の女主人だということに心の中で唖然としてしまう。

どうしてこんなことを。そうは思うも、宗次と呼ばれた男性は何もなかったように、私に冷たい視線を向けた。

『天音お嬢様』

『その呼び方はやめなさない！」

　彼がそう私を呼んだ瞬間、叔母の鋭い言葉が降ってくる。一瞬表情を歪めた彼に、私は慌てて頭を下げる。
　私のせいで彼が叱責されるのは申し訳なさすぎる。

『本日からよろしくお願いいたします』
　そんな私に、彼は小さく叔母に聞こえないぐらいのため息をついた。
『案内します』
『はい』
　その時案内されたのが離れのこの場所だ。