誰も愛さないと言った冷徹御曹司は、懐妊妻に溢れる独占愛を注ぐ
 宮下の家を出て一カ月。数日前に私はこの新しい家へと引っ越した。
 それまでは松前さんが用意してくれたホテルに滞在し、インテリアデザイナーや庭師といったプロと、急ピッチで打ち合わせをしてきた。
 
 さすがというべきだ。沢渡の力であっという間に家具など必要なものが搬入され、住める状態になるまでにそれほど時間は必要なかった。
 一緒に引っ越すべきかもしれなかったが、ホテル暮らしが心苦しかった私は、松前さんに頼んで片付けもするために先に引っ越しをさせてもらった。
  
メゾネットタイプの二階に位置する一番小さな部屋を自分の部屋とさせてもらい、家具は機能性重視で量販されているものを選んだ。
 
それでも前使っていた家具を思えば十分すぎる。

『もっといいものを選べばよかったのに』
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