西野先輩はかまいたい


「百合ちゃんが謝ることじゃないよ。

 ごめんなさい!
 今すぐ消えますから!
 本当にごめんなさい!って
 百合ちゃんがアタフタしだしちゃって。

 百合ちゃんまで涙目になっててさ。

 すっごく恥ずかしそうに
 俺に言ってくれたじゃん?

 『私、友達がいなくて
  辛いことがあると
  お花に話しかけてるんです。
  ちょっとだけ、心が軽くなりますよ』って。

 その後

 『先輩には友達がいますよね?
  ごめんなさい。
  変なこと言っちゃいました。
  忘れてください。
  私も、先輩をここで見たことは
  忘れますから!』って

 早口でテンパってて。

 そのあと、逃げるように
 いなくなっちゃってさ。

 大事な試合で負けて
 もう笑えないかもってほど
 絶望してたはずなのに
 
 俺は「フフフ」って笑っちゃった。


 その時だよ。

 百合ちゃんのことを
 大好きになったのは。

 会いに行きたくて
 かまいたくて
 たまらなくなっちゃった。

 校内で百合ちゃんを見つけては
 目で追っちゃってたからね。

 どれだけはまってるんだかって
 何度、自分に
 ツッコミを入れたかわからないよ」



そうだったんだ。


先輩に愛されてるなんて

全然気づかなかった。


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