キスだけでは終われない
「祖父さん、いつも早く結婚しろって言っていたよな?」
「そうだな…言っていたかもな」
「かもな…じゃなくて、言っていただろう。それで、俺…坂口会長にお孫さんと結婚させてくれって言ってきた」
「「はあ?」」
急な結婚宣言に隣で話を聞いていた親父までもが声をあげた。
「いつ?どこで出会った子だ?身元はしっかりしてるかもしれないが、どんな子だ?」
「祖父さんはこの前のお祝い会の時に会ってるよ。修一の隣にいた子だから、挨拶くらいはしただろう」
「修一くんの彼女って、お前…友達の女に手を出したのか?」
「違う。逆だ。俺の方が彼女と出会ったのは先だ。それにシンガポールで、一緒に過ごしたこともある」
「そんなこと自慢してどうなる。まったく…」
「修一にはきちんと事情も俺の気持ちも話して、それで彼女に俺を選んでもらう」
呆れた顔をした祖父さんは肩を竦め、親父は苦言を呈する。
「またいつものようにすぐに飽きた、とか言わないよな?少しは真面目になるならいいがどうなんだ?」
「大丈夫だ。もう、彼女以外はいらないから」
二人にそう宣言して、部屋を出た。