キスだけでは終われない
「アヤちゃん」、「カナ」といつの間にか子供の頃からの呼び方に変わり、うふふ。と二人で笑いあった。
「この前カナに『自分に自信を持って』なんて偉そうなこと言ったけど、あれは私自身に言っている言葉で、全然実行なんてできてないのよ」
「そんなことないよ。アヤちゃんはいつも頑張ってたし、いつも自信に溢れて輝いて見えてた…」
「上部だけはね。モデルなんてしてたから、持て囃されていい気になって、そう見せるように虚勢を張っていただけなの。でもね、今は関わってきたプロジェクトが上手くいくとマーチャンダイザーとして少しずつだけど自信が持てるようになったのよ」
アシスタントの時は怒られてばかりで自信なんて欠片もなかった、と過去を振り返り教えてくれた。
二人にとって分岐点となってしまった出来事を過去のものにして、前だけ向いて楽しく過ごそうと決意する。この夜は遅くまで語り合い、二人にとっての新たなスタートとなった。