キスだけでは終われない
「香苗ってばさらに綺麗になったしね。その人が香苗にかけられていた呪縛を解いてくれたんだとしたら、私も嬉しいよ」
「呪縛…だったのかな…。男の人が近くにいるだけで怖くて苦しかったけど、あの人が手を重ねてくれたり、抱きしめてくれたことは全然嫌だとは感じなくて…。むしろ温もりを感じて、守ってくれるように思えたの」
「そっか…。良かった。香苗がそんな風に感じる人に会えて…」
「だから、もう心配しないで。責任とかも感じないで…」
「香苗…」
「あの時辛かったのは私だけじゃなくて、彩未ちゃんもでしょう?でも、私は自分のことだけしか考えられなくなっちゃって…。それで、彩未ちゃんを避けるようなことして、ごめんなさい」
「謝らないで…。私が…もともとは私が原因で私と間違えられて香苗が襲われた訳だし…。いくら謝っても足りないのは私の方なのに…ごめんなさい」
気がつくと二人で抱き合いながら、許し合っていた。
「彩未ちゃんと昔みたいに姉妹のようになれるかな?」
「もちろんよ。私はいつでもカナのこと妹だと思っていたわよ。カナにかかっていた魔法を解いてくれた王子に感謝だね」
「王子?」
「昔から姫にかけられた魔法を解くのは王子様の役割でしょう?」
「あぁ…確かに王子様みたいな人だったわ」