キスだけでは終われない
ドキドキする。
ドキドキはするものの、なんだか落ち着かなくて抑えられない熱い想いになるまでの何かが足りない気がしていた。
しばらく黙ったままで眺めた後は、軽食を取って水族館を離れた。
「次はパーティの準備に行こうか」
「準備ですか?」
駐車場に向かい車に乗り込む。今日は知り合いの方の喜寿のお祝いに出席すると言っていたのに、水族館デートだからカジュアルな服装できてと言われていた。
「本当は親父が招待されていたんだけど、急に行けなくなってしまったから、僕も何も準備できてないからね。会場のホテルで用意しよう」
「ホテルでですか?」
「そう、予約してあるから香苗さんに似合うドレスを僕が選ぶよ」
「はい。いろいろありがとうございます」
車を運転している彼の横に流れる街並みを眺めていると、連れてこられたのは都内にあるホテル”イル・ピュ・フィーネ”だった。
「今日は香苗さんを僕のパートナーとして紹介させて」
「あの…私がパートナーでいいんですか?」
「この前も言ったけど、僕は君とのこといい加減な気持ちではないから。是非この機会に君との関係を周りに知らせておきたいと考えてる」
真剣な眼で語る彼に頷くとホテルのエントランスを抜けエスカレータへと向かっていく。
ホテル内にあるブティックに入ると予約していたからか、奥へと案内される。そこにはパーティードレスが用意されていた。