キスだけでは終われない

「どれがいいかな?」

「たくさんあって悩みます…」

自分のためのドレスを選ぶことが久しぶりすぎてなかなか決められない。

「これなんてどうかな?良かったら着てみて」

さぁ、と言われ奥の部屋へ入り着てみる。

彼が選んでくれたのはアクアブルーのノースリーブワンピースに同色のレースで出来たドレスが重ねてある。レースのドレスは七分袖で肩がレースで隠れる物。

着替え終わり、彼に見せる。

「思った通りだ…綺麗だよ」

「あ…ありがとうございます…」

慣れない姿に恥ずかしさもあり、声が小さくなる。

「ここでヘアメイクも頼んであるんだ。そのままでも十分だけど、少し整えてもらうといいよ」

スタッフに「どうぞ」と席に案内される。

「また、後でね」

修一さんはそう声をかけると「自分も着替えてくる」と言い、この場から離れた。

会場は高層階で、夕暮れの空の色が近くに感じられた。私は修一さんが仕事関係の人と話している間、窓近くにあるソファーに座り、ラベンダー色のような空を眺め待つことにした。
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