キスだけでは終われない
「お隣に座ってもよろしいかな?」
横に立つ男性が声を掛けてきた。その人は紳士的で素敵な老人だった。
「どうぞ」と笑顔で返すと微笑みながら隣に座られた。
「今日の空の色は綺麗だね」
「そうですね。こんなに高い所から見る空はいつもとは違って特別綺麗に見えます」
老人の方を向き微笑む。
「そうだな…。今日の空が特別綺麗に見えるのはお嬢さんと一緒だからかな」
言われなれない言葉を掛けられ、目を大きくして隣に座る老人を見てしまう。
「いや、お嬢さんが昔の知り合いにとても似ているように思えて、いきなり失礼なことを言い申し訳ない。なんだか若い頃を思い出してしまったよ」
「その…私に似ている方ってお祖父様の初恋の方とかですか?」
「近所に住んでいたかわいい子でね。初恋なのか…と聞かれるとよく分からないが大事な子だった」
しばらくお互いに何も言わず、遠くの空を二人で眺めていると修一さんが戻ってきた。