冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ラグウルフ王国の王都ベンゼレアに入ったミリアは、馬車の中で緊張が頂点に達して心騒がしくそう思った。

ミリアは、これまでコンスタンシアの影武者をしてきた。

国内で彼女だけだとされていた稀有なアイスブルーの瞳が、彼女と同じだった。化粧をし、魔法で髪の色をプラチナブロンドに変えてしまえば他人は誤魔化せた。

(私が唯一使える魔法、なんだよね……)

小国であるサンスティール王国は、第四大陸の中で二割を占める魔法国の一つだ。

国民たちは、総じて魔法を使った。調理や水洗い、火を起こしたり、石使いが橋り石たちの〝声〟を聞いて石を積み直したり―ー。

それらは生活魔法と言われた。

ミリアができたのは、自分や物の色をしばらくの間変えることだった。

魔法は体力を消耗する。自分にかけると何かを上からかぶっているみたいな感じで暑苦しさも感じるので、長時間は勘弁したい。

(役に立たない生活魔法だと言われてたけど、――姫様の役に立てる)

親の顔は知らないが、瞳の色がこうで良かったとミリアは思っていた。

孤児で、労働系の生活魔法ではなかったので捨てられた。一人で歩き続け、飢え死ぬ場所にと座り込んでいたところコンスタンシアと出会ったのだ。

これからは帰国するまでの間、誰かがいる時には必ず髪に生活魔法をかけなければならない。

姫仕様の化粧だって、毎日する。

< 10 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop