冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
(ひぇ、何これっ。でも生活魔法がとけなくて助かった!)

安堵と緊張でパニックになっていると、アンドレアがそのままのしかかってきた。両手をシーツに押さえつけられる。

「で、殿下――」

焦った次の瞬間、彼がガブッと首に歯を立てた。

(――か、噛まれたああああ!?)

心の中は大パニックだった。

しかし痛みで息は詰まり、ミリアの華奢な身体は彼の下でびくんっとはねた。よじる身を彼が体重で抑え込む。

異性に首を噛まれる経験なんて、初めてだ。

こんなに痛いものなのか。死ぬほどの激痛ではないが、不思議と痛みと共に何やらむずがゆさが込み上げてくる力加減だった。

「あ、あ……っ」

早く、歯を離して欲しい。

苦しいような感覚がして、どうにか引き離そうともがいた。すると今度は、噛み跡を甘く舐められた。

「ひゃっ?」

「しばし待て、もう少しで俺の匂いが付く」

待てと言われても、舐めたり吸われたりして平静でいられるはずがない。

意味が分からない。アンドレアが愛撫するたび、ぞくぞくして吐息が震える。

どうやら怒って噛み付いたわけではなそうだが、とすると親密な感じで肌に触れられているのはなぜだろうか。

(……まさか、夫婦的な?)

そんな推測が浮かんで、背筋が冷えた。

(ひぇぇええ! 違うんですっ、私はただの身代わりの侍女なんです!)

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