冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
何を考えているのか察したのか、エミリオがにこっと形ばかりの笑みを返した。

もう出たい、とアンドレアは思った。

(自分のことを思い出しているんだろうなぁ……)

二年前、エミリオも似たような状況にあったのを今になって思い出した。

それは父の口から唐突に出された知らせだった。

エミリオとライバル関係にあった国内の公爵令嬢との結婚発表があったのだ。新聞でそれを知った彼と同じくして、相手の彼女も笑顔が固まったそうだ。

このまま本当に結婚することになったら最悪だと、二人の意見は揃っていた。

王の間に突撃した際にも、ジェフリルド国王は今みたいに笑顔だった。

『なんのために僕が初恋の人にアタックもできないでいるとお考えですか? 彼女と結婚するくらいなら、僕は不能だとでも公表してでもこの結婚を阻止します』

『初恋の人と踏み切れないくせに、そういうことを言う人なのよ。私、この人と結婚するくらいなら一生独身の方がマシ!』

ああやって兄にはっきり物を言える令嬢も珍しかった。

そうしたら、隣国から〝姫〟が飛び込んできたのだ。

結婚式をぶちこわしに来た、彼女よりも先に婚姻成立させるので夜這いをさせろ、と本人がいる国王の間で、ジェフリルド国王に堂々要求したのである。

< 131 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop