冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
アンドレアが今日返答をしにきたのも偶然なのだが、分かり切った父の笑顔を見るに、すでに返答内容については想定済みだったのだろう。

「僕ら三人が共犯者ということですかね」

笑顔のエミリオは口調もあくまでにこやかだが、極寒で、アンドレアの方こそ嫌に思った。

(心臓に悪い……)

怖い、というより、精神的にくるからこの手のタイプは苦手なのだ。

「そうだよ。父と子で共に頑張っていこう」

ジェフリルド国王もまた、エミリオ以上に食えない顔でにっこりと笑う。

父と長男が笑顔で静かに駆け引きしているのを見て、アンドレアは溜息を吐きたくなった。

(その喧嘩に俺を巻き込むのだけはやめて欲しい……)

父は、兄以上に本心が読めない人だった。

今もなお、兄と表面上の笑みで火花を散らしている今でさえ、踊らされているのだろう。

そこに自分が乗っかっていると思うとアンドレアも癪だが、しかし彼女への気持ちは彼自身のものだ。背に腹は代えられない。

「どうするおつもりです?」

身代わり結婚なんて、かなりの大事にも思える。

するとジェフリルド国王は、訪ねたアンドレアを見るなり口元に手を軽く近付けて、忍び笑いした。

「ああいうタイプの子は、真っすぐで真面目だからね。〝主人〟の言葉以外は信用しない。まずは、その状況を作らなくてはね」

「ゲスいですね、父上」

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