冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
とにかく、昨日のことはどうまとめればいいのか分からない。頭も、それから心の中もさまざまなことでぐちゃぐちゃだ。

ぺたりと尻をついたミリアに、近くを移動中だった騎士たちが「ハンカチいるか?」やら「ほら、女の子なんだから床に座るなって」やらと世話を焼く。

「……うん、ありがと。ちょっと落ち着いてきた」

ミリアはひとまずハンカチだけ借りた。

「俺らとしては、大丈夫な気がしてきたんだよなぁ」

その様子を眺めていたカイが、自分の執務机で頬杖をつく。

「分かるわ。二年前、陛下が一番派手にやってくれた王太子殿下の件もあるしな」

「そうそう、陛下のことでいちいち騒ぐのも違う気がしてきた」

ミリアは、何を呑気なと思ってがばりと彼らを見た。

「何か大丈夫なのっ、全然大丈夫じゃないよ!? 殿下、私との結婚を続ける気だよ!?」

どうにかしないと。

そう思った時、すぐそこにあった柱を叩く音がしてミリアは驚いた。

「ふぎゃっ」

猫みたいに飛び上がり、ハンカチを渡してくれていた騎士に頭から突っ込む。ジャケットを引っ張られた彼は諦めきった顔だ。

「いやだからっ、それやめろ!」

ほぼ全員がツッコミした。しかし、彼らはすでに入ってきていた訪問者の存在をハタと思い出し、そちらをゆっくりと見る。

そこには、無表情の王宮騎士が一人立っていた。

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