冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「ミリアは、今までずっと尽くしてくれた。だから私は、あなたの人生を生きて欲しいと思ったの。命令でも、お願いでもなく、あなた自身の人生よ」

頬を両手で包み込まれ、慰めるように撫でられる。

けれどミリアは、すぐには理解できなかった。

どうして、なんでと主人を見つめていた。その表情を見ていたカイたちが、もらい泣きが移ったみたいに目をこすった。

「ほら、想像しただけで彼らも目が潤んでいるでしょう?」

「え……?」

「私が連れて行ったら、もうとっても困ってしまう人たちがココにできたのよ」

ミリアは、コンスタンシアに促されて、責める気配がまったくないラグウルフ王国の人たちを見回した。

ふと、ぱたりと目が合ったアンドレアが口を開く。

「君がいても、誰も困らない」

「アンドレア様……」

「かえって、君にいなくなられた方が困るぞ。第二王女ミリアが出て行ってしまった時、側近たちは大騒ぎで、自分たちも君を探すといって聞かなかった。わざわざ母上が出て場を収めたんだ」

扉側に待っている護衛騎士たちが、彼の話は本当だと肯定するように「そうなんです」と言って頷いていた。

ミリアは、ジェフリルド国王を見た。

「で、でも、本当にいいんですか? 全部が全部、陛下が悪いわけではないのに――」

「全部父上が悪いに決まってる」

エミリオが、笑顔で冷淡にすかさず口を挟む。

< 216 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop