冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
会わなくていいのかと言ったのは、このことだったのだ。急なことでアンドレアも余裕はなかったし、掌で踊らされているような不快感から問答を終わりにした。
「ここで失礼する」
アンドレアは、父よりも先に部屋を出た。
足早に次の公務へと向かう彼を、護衛騎士たちは怯え混じりで見送る。
急くような忙しい歩きっぷりで怒気と勘違いされていたが、彼は、興奮が抑えきれず速足になっていただけだった。
コンスタンシアは、昔会いに行ったものの別人で失望した王女だった。
それでもアンドレアは〝あの女の子〟が忘れられなかった。
政略結婚を回避するため『大勢の女をはべらせている』という設定で、集められた花嫁候補たちをことごく失望させて縁談を潰してきた。噂を裏付けるため、部下に女装を命じて時々離宮で影姿も見せさせた。
『あ、あの……えっと、初めまして?』
先程〝第一王女コンスタンシア〟を近くから見て、あの子だと気付いた。
同じ色であるはずなのに、愛らしさを詰め込んだようなアイスブルーの瞳。本物の王女よりも年下なのか、無垢さを感じる端整な顔立ちをしていた。
たしかに『初めまして』だった。
アンドレアは、彼女とは初めて言葉も交わした。
父が勝手に決めきた結婚だった。しかし、嫁入りで来たのは彼が探し求めていた〝彼女本人〟だったのだ。
「嬉しくないわけ、ないだろう」
つい、口を手で覆って呟く。
興奮は冷めなかった。どうしてか、再会できたことに指先まで震えている。
「……ようやく、話しができるのか」
アンドレアは赤くなった頬を隠すように下を向く。
幻のように消えてしまったと思った少女が、いつでも会える距離にいる――そう思うだけで、彼は胸の高鳴りを押さえられなかった。
「ここで失礼する」
アンドレアは、父よりも先に部屋を出た。
足早に次の公務へと向かう彼を、護衛騎士たちは怯え混じりで見送る。
急くような忙しい歩きっぷりで怒気と勘違いされていたが、彼は、興奮が抑えきれず速足になっていただけだった。
コンスタンシアは、昔会いに行ったものの別人で失望した王女だった。
それでもアンドレアは〝あの女の子〟が忘れられなかった。
政略結婚を回避するため『大勢の女をはべらせている』という設定で、集められた花嫁候補たちをことごく失望させて縁談を潰してきた。噂を裏付けるため、部下に女装を命じて時々離宮で影姿も見せさせた。
『あ、あの……えっと、初めまして?』
先程〝第一王女コンスタンシア〟を近くから見て、あの子だと気付いた。
同じ色であるはずなのに、愛らしさを詰め込んだようなアイスブルーの瞳。本物の王女よりも年下なのか、無垢さを感じる端整な顔立ちをしていた。
たしかに『初めまして』だった。
アンドレアは、彼女とは初めて言葉も交わした。
父が勝手に決めきた結婚だった。しかし、嫁入りで来たのは彼が探し求めていた〝彼女本人〟だったのだ。
「嬉しくないわけ、ないだろう」
つい、口を手で覆って呟く。
興奮は冷めなかった。どうしてか、再会できたことに指先まで震えている。
「……ようやく、話しができるのか」
アンドレアは赤くなった頬を隠すように下を向く。
幻のように消えてしまったと思った少女が、いつでも会える距離にいる――そう思うだけで、彼は胸の高鳴りを押さえられなかった。