冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
それはどうだろうか、とアンドレアは思う。

父は本当に食えない王だった。毎回騒がせて、そのたび魔法みたいにことを収めてしまうので絶大な支持も受けている。

すると、そろそろ時間だとジェフリルド国王が立ち上がった。

「彼女のことは、まぁ、お前の好きにするといいよ」

「俺の自由だと?」

「もちろんだよ、どちらに転んでもいいように道は容易してある。私はただ純粋にお前が会った〝その女の子〟に興味があっただけだよ。今となっては再会が嬉しくないというのなら、しばらく放っておいて国に帰すのでもいい」

すれ違いざま足を止めて肩に手を置いたジェフリルド国王を、アンドレアは獣の激昂を宿したような目で睨みつけた。

「帰す、だと……?」

「おお、怖いね」

ジェフリルド国王はおどけたような口調で言って、手を離した。

「判断はお前に任せるよ。数多くの国が、政治的な理由からの望まない結婚だ。私はね、先を行く大国として恋愛結婚は守りたいと思っているよ」

本当かどうかは分からない。父は食えない男だ。しかし――しばらく自由にさせてくれるというのなら有難い。

「あとで資料をいただけますか。あなたのことだ、影武者であることや身上も色々と調べてあるんでしょう?」

「いいとも。乗り気になってくれてよかったよ」

ジェフリルド国王が、にっこりと笑った。

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