冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「噂を聞いて知っていたと思う。俺が女性を離宮に置いていた、と。君には肩身の狭い思いをさせたと反省している」

「え? 反省?」

「そうだ。仕事に忙しかったため、結婚するまでに女性たちを帰しておかなかった。これから、本殿は一部護衛騎士たちの管理室となるが、それ以外の図書室などは好きに使ってくれて構わない」

屋敷も含め、離宮はアンドレアが軍人として貢献した際に、ジェフリルド国王から所有権を与えられたものであったらしい。

軍人としての職務の方が忙しく、あまり外に気晴らしにも行けない身だ。

住居用というより、休みが取れた日には人の目も気にせず寛げる別荘のように与えられた私有地なのだとか。

「これではまだ足りないか? 望みがあるのなら、本殿の一部を趣味部屋にでもなんでも改築しよう」

「えっ。え、そんなことしてくださらなくとも大丈夫ですっ」

「そうなのか? 納得できないようだったから、俺の誠意が足りなかったのかと」

納得できなかったのではなく、呆気に取られていたのだ。

「あの、いきなり色々と言われて動揺していたのです。その、殿下のご事情なら、わたくしは女の子たちがいても別に構いませんし」

「俺が構う」

真剣な顔で素早く答えられた。

「はい……?」

離縁待ちの最悪な夫を装うためにも、冷めた結婚生活の要因は置いていてもいいとミリアは思うのだ。

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