冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
目を上げた先には、成人男性の美貌の顔があった。あまりの近さに、眩しさで目がかちかした。

「あ、あの、どちら様でしょうか……?」

「あはは、何やら混乱してる? 分からないのも無理はないか、弟に配慮してあの日、僕も出席は控えていたからね」

男はミリアの手を取ったまま、残った手を胸に当ててにっこりと笑う。

「ようやく会えて嬉しいよ。まさかこんなところで会えるとは思わなかったけど。僕は、アンドレアの兄のエミリオだよ」

つまり王太子だ。

それは想定外の接触で、ミリアは固まる。

(……まさか王太子殿下に助けられてしまうなんてっ。というか、弟王子と違ってきらきらの王子様だな、人懐っこそう……)

いや、そんなことはどうでもいい。

ひとまず、速やかに顔を遠ざけて欲しい。眩しい美貌と金髪で目がちかちかするし、間近で顔を見られていることに緊張する。

カイたちが駆け寄るのに気付いて、エミリオが手を離してくれた。ほっとしたところで、ミリアは慌てて姫としての対応に出る。

「あ、あの、助けていただきありがとうございましたっ」

「いえいえ、君みたいな愛らしい人はいつでも大歓迎さ。僕の義妹でもあるのだから、遠慮しないでいいよ?」

エミリオが手を取り、にっこりと微笑みかけてくる。

(なぜ、せっかく話した手をわざわざ取り直してくるのか)

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