冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
それが王侯貴族紳士の礼儀だったりするのだろうか。超絶なイケメンスマイルの前に頭がフリーズしたミリアは、ふと台詞が引っかかった。

(姫様への誉め言葉は、たいてい『美しい』がほとんどだったけどな?)

それなのにエミリオは、ミリアに『愛らしい』と言ったのだ。

(……あっ、そうか。私だから『美しい』はないのか)

そう察して、ミリアは勝手にショックを受けた。

(姫様ごめんなさいっ、私が姫様の評価を下げてしまっているようです……!)

超大国でコンスタンシアの評判が、と思ってうっうっと内心で泣いていると、手を取ったままエミリオが「あれ」と困惑を滲ませる。

「女の子にこんな反応されるのは初めてだな……ねぇ君たち、彼女はいったいどうしたのか聞いても?」

「エミリオ王太子殿下、どうぞお気になさらず」

カイが手を離させ、他の騎士たちがミリアを確保する。

「わぁ、素敵な護衛体勢だね」

エミリオがにっこりと笑って、「ところで」とミリアを改めて見つめた。

「どうしてこんなところに? アンドレアに会いにきたのかな?」

「え? 違いますけど」

即答を受けたエミリオが、しばし笑顔で固まった。カイたちの間にぴしゃーんっと激震が走っていた。

(あ、ここにいる理由を尋ねられているのか)

ミリアは遅れて気付き、返答をし直す。

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