冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
ミリアは凍えそうな気分になった。彼女が「ひぇ」と小さくもらしたそばで、カイたちは何か思い出したみたいに青い顔のまま口を一文字に引いている。

「あ、ちなみに僕は結婚しているよ。エレンヴィア城で妻と住んで二年だねようやく第一子か宿った」

「あっ、それはおめでとうございますっ」

反射的に、スカートの前で手を重ねて頭を下げる。

「ありがとう。獣人族は、神獣と同じく子ができにくいからね。みんな待望の第一子を喜んでくれている」

エミリオが、今度は体温を感じるような笑顔を見せた。さっきはちょっと怖いかもと思ったけど、もしかしたら仲良くなれる気がしてきた。

(そっか、一児のパパなんだ)

ミリアは警戒心がゆるゆると溶けだした。だが直後、続いた彼の台詞に心の距離が再び開くのを感じた。

「生まれてくる我が子は、父上には全然似ないで欲しいという想いで育てるつもりだよ。父上の性格を、少なからず僕も弟も継いでいるからね」

全然、がすごく力強かった。

(……これ、この人と仲良くなるのは無理そう)

あの国王、ほんと何をしたんだろうとミリアは大変気になった。カイたちがとても渋い顔をしている中、エミリオが話を戻す。

「ああ、そういえばアンドレアのことだったね。可愛い弟のことなら、僕はなんでも知ってるよ。少しの立ち話くらいだったら今はできるから、よければ質問に答えてあげるけど」

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