【完結】秘密の子育てがバレたら、愛で包囲されました。〜その子の父親は、俺だろ?〜


 私はこの人と……家族になるかもしれないんだ。 そう考えたら、それも悪くないと思えた。
 一人で育てるって決めても、やっぱりどうしても無理な時はある訳で……。

 時には誰かに頼るのも、やっぱり必要なんだって思い知らされる。
 私は一人じゃない、そう思わせてくれる人が今目の前にいる。
 私を助けてくれる人、私を支えてくれる人が……。

「剛久さん……ちゃんと家族になるために、紡いでいきましょう」

「え?」

「信頼とか、そういうものを……紡いでいきましょう」

 この人となら、私は幸せになれる気がする。直感でそう感じた。

「由紀乃……?」

「明日から、よろしくお願いします」

 私は剛久さんにお辞儀をすると、剛久さんは「こちらこそ……よろしくお願いします」と笑ってくれた。

「私……あなたと過ごす時間、大切にしたいと思ってます」

 この人は……正真正銘、果琳の父親だから。果琳はきっと、彼に懐いてくれるだろう。
 父親だと名乗らないでと言ったけど、名乗ることを許しても……いいかもしれない。

「由紀乃、俺は君と果琳を大切にする。 だから俺を、信じてくれないか」

 その言葉を聞いて、私は「……はい」と返事をした。
< 30 / 47 >

この作品をシェア

pagetop