サンタクロースの贈り物(クリスマス企画)
今日は、クリスマスイブ。
「ツバメちゃん、私がこの場にいても良いの?」
ドレスに身を包んで立っている場所は、蒼家のクリスマスパーティーの会場。
会場の中には昔の知り合いもいたけれど、没落した家の娘のことは覚えてないだろう。
覚えていたら、それも厄介なのだけど…。
「っつーか、居て。
梨香がこの場で見てくれなきゃ、張り合い無いし。」
張り合い?
「私の晴れ舞台を、見せつけたいの。」
ツバメちゃんにとって、私はライバルだったんだね。
私は意識したことなかったけど、言ったら怒られそうだから内緒にしよう。
哲也くんが、私たちのもとにやってきた。
「梨香さん、今日は楽しんでね。
柾樹兄さんもこっそり来てるよ、客としてじゃないけどね。」
そう言って指差した先は、オーケストラ奏者の一団。
あ、ヴァイオリン弾いてる。
「ちょっと哲也、蒼先生がこの場にいたらマズイんじゃ…。」
「あの中に蒼の長男がいるなんて、誰も気付かないよ。」
…だよね。
「梨香さん、悪いけどツバメ借りるよ。」
哲也くんは、ツバメちゃんの手を取って行ってしまった。
しばらくして、蒼家が重大発表を行うというので耳を傾けた。
まずは、哲也くんとツバメちゃんが婚約したこと。
そして、跡取りは哲也くんに決まったことも発表された。
その話が出た瞬間、柾樹さんを見ると…心の底からホッとした表情をしていた。
柾樹さんは、今日までずっとこの問題に悩んでいたのかな?