冷徹上司の過剰な愛
「…あのん、」


「うぅ…難波さんのばかっ。もう知らない!帰る!」



勢いよくマンションを飛び出すも、難波さんが追いかけて来ることはなかった。


…っはぁ。やっちゃった。ばかなのはわたしだ。


ほんとは全部分かってる。難波さんに選択肢がないことも、わたしに対する気持ちも。だけど……わたしは難波さんが居ないとダメだから…。


一方的に感情をぶつけてしまったことをすぐに後悔。



「だけど3年は長すぎぃ。」



せめて1年だったらなぁ。…っはぁ。


それから数日が経ち、会社で難波さんと顔を合わせるも、挨拶をする程度で、あの件を話すことはなかった。



『ねぇ、聞いた?難波さん海外に転勤だって!』


『聞いたぁ。すごいよね!それに戻って来たら昇進確定してるらしいよ。』


『海外転勤だもん。昇進は当たり前でしょ。』


『でもあの顔を見れなくなるのは残念だよね。モチベ下がるかも。』



休憩中、化粧直しをしていると、そんな会話をしながら入ってきた先輩たち。



『ね、難波さんって彼女居ないのかな?』


『いやぁ〜、居るでしょ。居ないはずないって。』


『だよね。じゃ、その彼女も向こうに連れて行くのかな?てかこのタイミングで結婚したりしてぇ〜。』


『あり得る!』
< 216 / 230 >

この作品をシェア

pagetop