冷徹上司の過剰な愛
今なんて…?



「聞こえなかった?会社に戻って。蓮美。」


「…どうしてですか?」


「仕事残ってるだろ。蓮美はただでさえ仕事遅いんだから人一倍やらないと。それくらい分かってるだろ?」


「………難波さん。」


「……蓮美…頼むから戻って。」



なんで?もうわたしのことは必要ないの?求めてもくれないの?


難波さんから視線を落とし唇を噛み締めていると、再び名前を呼ばれた。



「…蓮美……色々早まって、来月には向こうに行くことになった。」


「っ、………。」



何それ…そんなこと一言も……。なんでいつも急なの?なんで難波さんはいつも急に…。



「…蓮美「頑張ってください。応援しています。」


「………。」


「…じゃ、戻ります。お疲れ様でした。」



小さく頭を下げ、再びエレベーターに乗り込むと、ボタンを連打した。


……もういい。…もう……だってどうにもならない。わたしがどんなにもがいて、何言ったって何も変わらない。それならもう諦めたほうがいい。


…期待なんてしない。
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