冷徹上司の過剰な愛
それから数週間が経ち、今日は難波さんの送別会が開かれていた。



「あのん呑んでる?」


「呑んでるよ。」


「…ね、あのん。本当に良いの?」


「んー?何が?」


「難波さんのこと。来週には行っちゃうんだよ?ほんとにこのまま何もしないで言わないつもり?」


「……もういいの。」



グラスについた口紅を指で擦りながらそう答えると、小さくため息をついた舞子。



「…あのん、……あのね?実は「そこの2人!呑んでんのか〜?特に蓮美!」



そう言いながら近づいてきた有馬は珍しくデキ上がっている。相当呑まされたに違いない。


舞子はそんな有馬を呆れた眼差しで見つめていて、そんな2人を横目にわたしは難波さんの姿を見ていた。


女性社員に囲まれる難波さん。普段ではそんな光景見慣れないけど、今日ばかりは女性社員も放っておけないようだ。


あ、そういえば…、



「舞子、さっき何言い掛けたの?」


「え?あ〜…ううん。なんでもない。」



チラッと難波さんに視線を向けた舞子はそのまま口を瞑った。
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