星空なら、うまく話せるのに
*「雲の上なら、きっと、うまく話せるのに」
「莉子―! ちょっと手伝ってー」
玄関から、お母さんの大きな声がリビングまで響いた。
重い腰を上げ、のそのそと出て行くと、大きな紙袋を二つ抱えたお母さんの姿。
「莉子お風呂入ったの?」
「……」
「え? まさか朝の恰好のまんまなの!?」
声を荒げるお母さんを横目に、私は紙袋を奪い取った。
夜の10時になろうとしていた。平日なのに一日パジャマでだらだらと過ごしてしまった。
「……莉子、何かあったの? もう3日目じゃない。店休んでるの」
「……」
「私が任せっきりだったから、たまにはいいんだけどさ」
「……」
私は答えられず、無言のまま、お母さんが持ってきた紙袋に目をやった。
中にはたくさんの手紙が入っていた。