星空なら、うまく話せるのに

 おばあちゃんにとって、あの紅茶店はとても大切な場所だったんだ。

 言葉は交わせなくても見つめ合えるだけでいい。それくらい恋しい人がいること。

 きっとお互い結婚していて、恋なんてしてはいけない運命だったとしても出逢ってしまった。

 ただそこに、あなたがいるというだけで幸せを感じられる。そんな場所だったんだ。


 泣きながら夢中で読み進めた手紙。

 気付けば、カーテンから優しい陽の光が漏れ始めていた。
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