星空なら、うまく話せるのに
*輪廻の輪が回る
店を休んで5日目の午後、私は紅茶店に来ていた。
学校や会社を何日も休んだ後って、どうしても行きづらくて、みんながどう思っているかって気になって、それが原因でまた休んで。負のループだって思ったことが何度もあった。
今回もそんな気分。そもそもお母さんの店なんだし、きっと私なんていなくても誰もなんとも思わない。そう感じていた。
申し訳無さげに店に入ると、平日の午後なのに知った顔のお客さんが何人も揃っていて、満面の笑みで出迎えてくれた。
「莉子ちゃん心配してたのよー」
「もう体調は大丈夫なの?」
「莉子ちゃんの紅茶が飲みたいと思っていたの」
嬉しい言葉が私を包み、優しい気持ちを運んできた。
今まで、恥ずかしさと情けなさとで引きつっていた顔が、少しずつほどけていく。