星空なら、うまく話せるのに
*運命を信じて
「あー、お母さんごめーん。余計なこと言っちゃった」
店の閉店時間を1時間も過ぎて、後片付けをしていた。
急いで片付けをしながら、お母さんに報告の電話。
あんなふうに啖呵を切った私に、その場に居合わせたお客さんから興奮の拍手が起こった。
おばあちゃんの代から続くこの店を守るため、夢中で言い放った言葉が常連のお客さんはよほど嬉しかったようで、閉店時間になっても昔の思い出話に花が咲いていた。
そんな雰囲気の中でも正直、余計なことを言ってしまったなって、私はずっと考えていた。
このビルが壊されたとして、その後に何ができるかは、この土地の持ち主の判断だ。私一人が反対したところで、どうにかなるはずはないって分かってはいる。それでも黙っていられなかった。
いくらお金を稼いでも、観光立地のこの一等地、私に買うことなんて出来るはずがない。
なんとなく、悔しい思いをサンタさんへぶつけたくなってしまったんだ。