幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
けれど次の日、私は仕事中に激しい目眩を感じ、持っていた資料をばら撒き座り込む。

目の前が真っ暗で、自分がちゃんと座れているのかもわからないほどのそれは、しばらくじっとしていてもあまり良くならない。

いよいよ不安になってきた。これ、ほんとにただの夏バテだよね。大丈夫だよね。

廊下の壁にもたれて目頭を抑えていると、「四宮ちゃん!?」と廊下に声が響いた。

この声は佐原さんだ。

「どうしたの? 私が分かる?」

そっと肩に触れられ、控えめな声量で問われる。
顔を上げると、佐原さんのことはちゃんと見えた。少し収まったみたいだ。

「はい… すみません、最近、目眩がしてて…」

「病院は?」

「土曜に行こうと思っていました」

「早い方がいいわ。 今日は早退して、今から行きなさい。 生憎、社長は今外に出ているわね。タクシーを下につけるから」

「すみません、ご迷惑おかけして」

「いいのよ。今は四宮ちゃんは自分の体のことを考えて。社長には私から伝えておくわ。いい?」
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