幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
好き、か。
いちばん単純で、いちばん難題なことのような気がする。
たった2文字に、自分の感情を全て乗せて伝えるのだ。
鼓動がはやくなる。
俺に告白してきた女は皆、こんなふうに勇気を振り絞っていたということか。
いや、違うな。黄色い声で近寄ってくるだいたいのやつが、俺のスペックとステータスに引き寄せられただけの女狐だ。
甘ったるい香水を纏わせて、隙など作ろうものなら体に触れてくる。無意味に顔を引き寄せてはリップがくっつくんじゃないかというくらいの距離感で話しかけてくるようなのは、心底不快だ。
俺が結婚しているというのはもう周知の事実。
妻帯者にそうして色仕掛けをしようなどという神経がわからん。
俺としては、相手が一椛だということも知れ渡れば、そういったこともなくなると思うのだが。
何しろあいつは顔がいい。若くして秘書室長抜擢というハイスペックさも兼ね備えている。
一椛に勝てるなどと思うやつは、相当な自信家か自己中しかいないだろう。
もっとも、一椛の秀麗さだけに惚れたのではないが。
彼女の魅力を知るのは、この世で俺だけでいい。