幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない


俺は内心死ぬほど焦っていた。

あの後、仕事を速攻で終わらせ、普段より早い時間に帰宅する。

一椛よりも先に帰っているので、今日は俺が夕食担当だ。

夕食を作り終え、午後9時を回った。
一椛が帰ってこない。

電話も繋がらないし、メッセージの既読もつかない。
さっき1度会社に戻った。一椛はいなかった。退社は俺のすぐあとだった。

何か事件に巻き込まれたのではないか。
嫌な想像が膨らんでは、不安と焦燥が増す。

警察に連絡しようか。妻が3時間ばかり帰ってこないだけで通報などしていいのか?
むこうもいい大人だ。連絡を忘れて友人とディナーでも楽しんでいるのかもしれない。
それならそれでいい。連絡を忘れたことは咎めるが、無事に帰ってきてくれればなんだっていいのだ。

ソファに浅く腰かけ、頭を抱えて考えている。
そこでインターホンがなった。

俺は顔を上げ、飛びつく勢いでモニターを見る。

そこにいたのは……
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