幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「はぁ。一椛はいらん誤解をしているだろうな。おまえのおかげで夫婦の危機じゃないか、このやろう」

「ええ?こんなことで揺らぐなんて、あんたたち脆すぎね」

「おまえが言うか……。 まあでも実際、俺たちの関係ほど不安定なものはないんだ。政略結婚みたいなものだからな」

「ふーん? 面白いのね、夫婦揃って」

アンが興味なさげに言う。

「どういうことだ」

「なんでもなーい。 自分で確かめたら? このままだと、一生すれ違ったまま生きてそうだけどね、あんたたち」

アンのやつ、自分のした事を棚に上げすぎじゃないか?
ほんとに厄介なやつが来たもんだ。

「あ、そうだ。日本に帰る前に1度くらい食事でもしましょうね」

「一椛の誤解が解けたらな」

アンがふんっと笑う。

「いつになるのやら〜、だわ」

アンは今度こそ帰っていった。
その背中が見えなくなると、息をついて一椛を見下ろす。

「一椛、起きろ」

ん〜と身じろぐだけで、夢の中から出てこない。
立ったままだぞ?男の腕の中だぞ?

無防備にもほどがある。
金輪際、俺がいないところで酒を飲むのはやめさせよう。

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