幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
だって、貴晴さんとキス…なんて、今まで考えたことがなかった。

両思い…。
好きな人に好きって言ってもらえる未来なんて、想像もしてなかったのだ。

今はもう、それだけで胸がいっぱい。
苦しくて、でも幸せで、ドキドキしっぱなし。

「旅行、どこ行きたい?」

さっきの続きはしないようだ。
穏やかな口調の貴晴さんに答える。

「ふ、冬だから、温まれるところとか…」

テンパって、なんかよく分からないことを口走った気がする…。

「温泉とかか?」

「そ、そう! 温泉!ふやけちゃうくらい入りたいな!」

あああ、何言ってるのってば!

「北海道かな」

「…!ラーメン!カニ! 北海道は食材の宝庫…! 私、行ったことないよ」

「言うと思った。決まりだな。冬の北海道は寒そうだ」

「そうだね。貴晴さん、また風邪ひいちゃうかも」

「…ワンシーズンに一度のイベントだから、大丈夫」

何それ。
私は吹き出して笑った。
貴晴さんが不満げな顔をする。

何気ない会話が嬉しい。
触れられる距離っていうのは、結構大事なのだ。

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