すずらんに幸あれ!
「私の方が先輩だし、『蘭さん』とか、『蘭先輩』って呼ばれたい!」
中学生の頃から先輩後輩という関係に憧れていた。
運動系の部活や強豪の部活に入っていなかったから、仲のいい先輩後輩なんていない。
クラスメイトたちが「先輩!」と呼ばれているところを見て、「いいなあ…」なんて思っていた。
「私にとって、すずくんは初めての後輩だから、すずくんも気軽に私のこと『蘭先輩!』って呼んでいいからね!」
「……」
すずくんは何も答えずに、花岡家の手作りハンバーグを黙々と食べており、私の話なんて全く聞いていない様子だった。
よっぽど美味しいみたいだ。
「私の母のお手製ハンバーグはいかがかな?」
「おいしい」
「そこは答えるんだ…」
まるで、飼い始めたばかりの猫がなかなか懐いてくれないような、そんな感覚だ。