すずらんに幸あれ!
「誰に向かって口聞いてんだ。デブの分際で偉そうなこと言ってんじゃねえぞ、カス」
男は、地面に落ちている三日月アンナの人形を強く踏みつける。
三日月アンナの顔を何度も踏みつけられているのに、秋山さんは止めようとしない。
むしろ、男の気が済むまで見続けているように思える。
「人形が彼女とか、マジで気持ち悪い」
吐き捨てるような言葉を聞いた瞬間、私は咄嗟に体が動いていた。
人形を踏みつけている男を押しのけて、睨みつける。
三日月アンナの顔が汚れていたので、制服の袖で拭いてから、秋山さんの元へ行く。
「秋山氏、恋人なら助けてあげないと…」
三日月さんを渡すと、秋山さんは彼女を抱き寄せて、「かたじけない…」と震える声で言った。
「おい、お前。余計なことしてんじゃねえぞ」
再び、腕を掴まれ、乱暴に引っ張られる。
「……謝って、ください…」
「…あ?」
目の前の男の威圧感に圧倒されそうになるが、負けじと言葉を続ける。
「2次元も3次元も恋したって、好きになったっていいじゃないですか。秋山氏があなたたちに何かしましたか?迷惑かけることしましたか?」