すずらんに幸あれ!
背後から、私の名前を呼ぶ声がした。
すらりと手足の長い高身長に目つきの悪いつり目。
とても整った顔の黒髪の青年が私を見据えて立っている。
「すずくん…」
知り合いが目の前に現れたことに安堵し、思わず泣きそうになった。
「…こんなとこで何してんだ」
無表情で私たちを交互に見ている。
「帰るぞ」
すずくんは、私の腕を掴んでいる男の手を軽く振り払い、一言告げて来た道を戻ろうとする。
「おい、テメェ。邪魔してんじゃねえ……」
「あ?」
「ひっ…」
すずくんは、眉間に皺を寄せて、男の仲間たちを睨んだ。
彼の目つきの悪さに、男たちが怯んでいる。
大学生相手にすごい迫力だ。
男たちは後ずさって、秋山さんを殴ろうとしていた男の元へ駆け寄った。
「お、おい。なんかあいつやばくね?」
「やばい…。とにかく、なんかやばい…!」
「なんかでかくてヤバいから逃げようぜ…!」
「は?何言ってんだ、お前ら。高校生相手に……ヒィッ!?」
いつのまにか、すずくんは秋山さんたちの目の前まで移動しており、じーっと無言で彼らを見下ろす。