すずらんに幸あれ!

「はい、そうです。なので、あなたとはお付き合いできません」


よし、言ってやった。
はっきりと言ってやった…!!

(毎回きっぱりとお断りしていたけど)これでもう私のことを諦めてくれるだろう。


恐る恐る男の様子を窺うと、思った通り、とても驚いた顔をしていた。

私に彼氏(ウソ)がいるという事実に、衝撃を受けたに違いない。

男は動揺し、ワナワナと震えた声で「嘘だ…」と口を開く。


「は、花岡さん、こんな…こんな表情筋が死んでいる男がタイプなんですか!?」

「…は?」

「えっ…」


男の質問に、ぱちくりと何度も瞬きをする。


「……ありえない、ありえません!!花岡さんには、もっと明るくて笑顔が素敵で、爽やかそうな方とお付き合いしていると思っていました……」


な、なんかよくわからない偏見をもたれてる…。

まあ、確かにこの隣にいるすずくんって人は無愛想だし、ムスッとした顔をしてはいるけど…。


「僕は、こんな男が…かかか、彼氏だなんて認めませんから!!花岡さんにはふさわしくない…!!」

「えぇ…」

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