すずらんに幸あれ!
小さく悲鳴を上げる。
そして、一目散に無愛想男子の後を追いかけ、先程と同様に制服の袖を引っ張った。
「…んだよ、おまえ」
案の定、物凄くうざったそうな表情を向けられたが、今はそんなこと気にしている場合ではない。
「あ、あのっ…ほんっっっとうに申し訳ないんだけど!彼氏のフリしてもらってもいいかなっ…!?」
「…はあ?」
「ほんとごめんね!正門の方見てもらえばわかると思うけど、あそこの門の前で待ち伏せしてる人がいて、ちょっと困ってるんだよね!!」
「知らねーよ。…つーか、手離せ」
「いや、マジでごめん。お願いします!ところで、名前なんて言うのっ!?」
「……鈴」
「すずくんね!!あとでコンビニで好きなもの買ってあげるからさ!!今はどうか彼氏のフリしてください!!!」
「………」
無愛想男子改め、"すず"と名乗った男子を半ば無理やり連れて、しつこい男の元へと足を運ぶ。
「…花岡さん、そちらの方は彼氏さんでしょうか?」
私の気配に気づいたのか、男は振り返り、すぐさま隣にいるすずくんについて聞いてきた。